カジノ株急落-マカオで銀聯カード引き出し制限強化との報道

中国当局は中国銀聯の口座保有者がマカオの現金自動預払機(ATM)で引き出せる金額を半分に減らす。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じた。これを受け、米国とオーストラリア、香港の株式市場でカジノ関連株が大幅に下落した。

SCMPによると、マカオ金融管理局(AMCM)は銀聯カードを使った1日当たりの引き出し額について、上限を5000パタカ(約7万1400円)に引き下げる。10日から実施する。これを受け、9日のシドニー市場ではクラウン・リゾーツが一時8%安と約2カ月ぶりの大幅下落となった。

人民元への下押し圧力が強まる中、中国当局は資金移動に対する規制を強化している。事情に詳しい複数の関係者がブルームバーグ・ニュースに語ったところによれば、当局は人民元を海外に持ち出す際のハードルを引き上げるなどの措置を講じている。一方、マカオのギャンブル業界はウィン・マカオなどの業者が新たなリゾートをオープンしたことで回復しつつある。マカオの11月のカジノ収入は4カ月連続で増加し、前年同月比で2014年2月以来の高い伸びを記録した。

AMCMの報道官にSCMPの報道についてコメントを求めたが現時点で返答はない。

SCMPによれば、引き出し制限の強化は銀聯カードの使用に関するルールをさらに厳しくすることが目的。当局は中国から海外に現金を不正に持ち出す方法としての銀聯の利用状況を調べてきた。

8日の米株式市場でウィン・リゾーツの株価は一時12%急落。ラスベガス・サンズは13%安、MGMリゾーツ・インターナショナルは4.3%安となった。新濠博亜娯楽(メルコ・クラウン・エンターテインメント)も14%下落。ラスベガス・サンズはコメントを控えた。他のカジノ運営業者にもコメントを求めたが、現時点で返答はない。9日の香港市場でも永利澳門(ウィン・マカオ)や金沙中国 (サンズ・チャイナ)、銀河娯楽(ギャラクシー・エンターテインメント・グループ)の株価が一時いずれも10%以上下げた。

今年の「黄金週間」の大型連休には、少なくとも過去10年間で最も多い100万人近い中国観光客が10月の最初の7日間にマカオを訪れた。

MGMリゾーツ・インターナショナルのジム・ムーレン最高経営責任者(CEO)はCNBCのインタビューで、中国当局が導入した規制は過去のものと整合性があると指摘した上で、引き出し制限強化の意味合いを「過小評価したくない。収入をある程度減らす影響はあるだろう。だが、長期的には極めてポジティブなストーリーだ」と語った。

Credit:Bloomberg